2023.6.23
今年も珊瑚舎では、慰霊の日特別授業を行いました。
「花や何処行ぢゃが?」は、ピートシガー作「花はどこへ行った?」をウチナー口・三線にアレンジしたものです。世界的な反戦歌を沖縄から歌えるようにと、去年の慰霊の日に珊瑚舎オリジナルソングとしてつくりました。
この歌を今年は、「南北之塔」「平和祈念公園」の2箇所で歌いました。
同じ場所でもう一曲、「コシシケレリアフリカ」を歌いました。アパルトヘイト反対運動のなかで歌われた歌で、差別や貧困のなかで声を上げ祈る思いが込められています。珊瑚舎ではこの歌の終盤の歌詞で「アフリカ」を「沖縄」に変えて歌っています。
南北之塔にて
南北之塔は、激戦区だった糸満市真栄平で住民が収集した遺骨が納められており、数千人の兵士や住民が眠っています。沖縄戦に従軍したアイヌ民族出身の元日本軍兵士、故弟子(てし)豊治さんと真栄平住民の交流が背景にあります。納骨堂の上に立つ慰霊碑の側面にはアイヌ民族の言葉で「キムンウタリ」(「山の仲間たち」の意)と刻まれているのはそのためです。
今回の訪問では、お父様が北海道出身のアイヌ民族で20代のころから沖縄に暮らす玉城美優亀さんと、その息子さんであり沖縄で生まれ育った寿明さんのお2人からお話をうかがいました。
沖縄とアイヌに思いを寄せながら、ご自身のことばでお話しをしてくださいました。南北之塔のことについて、「アイヌの人と沖縄の人は似ている」というお話、「戦争が起こるのを防ぐものがあるとしたら、人のあいだに流れる関係や絆だけだ」というアインシュタイン博士のことばの紹介、生徒たちは思い思いに聞いている様子でした。
お話しの最後に寿明さんから生徒たちに、「どうしたら平和を守っていけると思いますか?」と問いかけがありました。
「戦争が起きたらどうしようと思う時点で、平和じゃない。戦争は起きない、起こさないと決めること」
「平和と聞いてイメージするものは人それぞれちがうから、難しい」
「笑うことが、大事」
「ストレスがたまるから戦争がしたくなる。ストレスのたまっている人の話を、聞いてあげること」
など、初等部から高等部まで、いろいろな生徒が次々と意見を出していました。
玉城さん親子からお話を聞いたあとは、南北之塔の前で「花や何処行ぢゃが?」「コシシケレリアフリカ」を歌わせていただきました。
玉城さん、真栄平地区のみなさま、慰霊祭の前の貴重なお時間をいただき、ありがとうございました。
このあたりは激戦区で真栄平集落では半分近くの住民が沖縄戦で亡くなったと聞き、もしも今が78年前だったら、ここから見える景色は、少年たちの顔は、どんなものだったのかと想像せずにはいられませんでした。
平和祈念公園にて
平和祈念公園でも2曲を歌ったあと、自由行動で公園や資料館を見てまわりました。
自分の親戚の名前が刻まれていると両親から聞き、平和の礎のなかから名前を探し出した生徒もいました。
78年前の戦争を知ることが大切であるのと同じように、今身の回りにいる人たちの気持ちや痛みを想像すること、思いやること、暴力以外の解決方法を一緒になって考えること、社会を知ることもまた、大切なのだと思います。
毎日、毎時間が、平和につながる時間です。自分を省みながら、また大切に1年をすごしていきたいと思います。