4年ぶりの開催となった馬天ハーリーに参加しました。コロナ禍で大会が中止していたこの数年間、生徒たちは自主ハーリー大会を企画してハーリーを続けてきましたが、感染防止のため色々な制限を設けたり、台風により中止せざるを得ない年もありました。そのため今年の馬天ハーリー開催は珊瑚舎の生徒にとって待ちに待った大会となります。この日に向けて、生徒たちは5月から海で校舎で練習を重ねてきました。
大会当日は会場周辺の道路にのぼりが立ち、港の船にはいくつもの大漁旗が翻って、町全体が久しぶりのハーリー大会を待ちきれない様子でした。
珊瑚舎では、朝から保護者を中心とした食事班が100人分のおいなりさん・チキン・卵焼きなどを準備し、お昼にはブルーシートを敷いた会場テントにたくさんの食事が並びました。そこには昼間の生徒・保護者だけではなく、夜間中の生徒、卒業生・講師・関係者が応援に駆けつけてくれました。
久しぶりの再会を喜びながら「海の運動会」と呼ばれていたこの雰囲気を思い出していると、あっという間に開会式直前。生徒たちは円陣を組み、高等部3年の掛け声に合わせて全員で気合をいれます。いよいよ馬天ハーリー開幕です。
今回、珊瑚舎スコーレでは一般の部、ちびっこの部(小学生)、女子の部と合わせて4艘がエントリーしました。開会式では老若男女・多くのチームが並ぶ中、座開きとして高等部の生徒が八重山の踊りを披露しました。ハーリーの際に石垣島で踊られている「しょんかに小」を保護者と一緒に踊り、華やかに会場を盛り上げました。
御願バーリーを見守り、さっそく一般の部予選が始まります。一般の部には『波丸』と『風丸』の2艘が出場。中・高生を中心とした男女混合チームです。一般の部は17チームでの予選が行われ、上位6チームが順位決定戦に進みます。予選第1レースに出漕した『波丸』。練習では最後までなかなか櫂が揃いませんでした。プレッシャーのかかる初戦でしたが、ここ一番のスタートダッシュを見せました。会場から大きな声援を受け、サバニがスーッ!スーッ!と加速していきます。折り返し後のキツい場面を粘り強く漕ぎ切るもわずかの差で2着でのゴールインでした。タイムレースなのでまだ順位決定戦に進めるかは分かりません。他のチームの結果に一喜一憂しながら待ちます。
予選が進むにつれてさらに盛り上がる会場。その熱気を受けて登場した『風丸』は気合十分、自信を持って出漕しました。他チームを大きく引き離してのゴール。タイムは今季自己ベストを更新しました。予選最後のレースが終わり、会場掲示板に結果が貼り出されます。
波丸は8位、風丸は2位という結果でした。波丸メンバーの中には「もう一度漕ぎたかった」とうずくまる生徒、練習よりも良い漕ぎ方ができて清々しい表情の生徒、そのコントラストに思わず笑ってしまいました。それぞれの生徒らしくてなんだか良いなと思う場面でした。
続いてちびっこの部に出場した『星丸』の生徒たち。もちろん初出場の生徒ばかりです。実は星丸は漕ぎ手が集まらず出場できるか危ぶまれた舟です。練習でも舟の上で言い合いをしながら切磋琢磨してきました。結果は地域のスポーツチームをおさえて堂々の予選1位。体格は小さくても、気持ちと櫂をそろえることで見事な走りを見せてくれました。
ハーリー大会はいよいよ各部門の決勝に進みます。女子の部、珊瑚舎の『天丸』は前回の優勝チームですが漕ぎ手はまったく変わっています。波丸・風丸・星丸と同じく、新しいメンバーで練習を重ねて本番を迎えました。息の合ったスタートから勢いに乗り、最後までトップを譲ることなく見事1位でゴール、優勝を飾りました。
女子に続きたいちびっこの部の星丸でしたが、一歩及ばず残念ながら準優勝でした。
最後は一般の部決勝に進んだ風丸。スタート地点へとゆっくりと漕ぎだす風丸は、悲願の優勝に向けてたくさんの想いをのせていました。緊張を切り裂くピストルの音と同時に三艘が一斉にスタート。どのサバニも勇壮に波を切ってぐんぐん加速します。わずかに差をつけられましたが、見事なターンで巻き返し、ほぼ横一線で後半の勝負へ。少しずつ離されていくも最後まで渾身の走りを見せて2着でゴール。予選よりもタイムはさらに縮まっていました。レース後は放心状態の生徒、涙を流す生徒、選手たちはその場を動けない様子でした。しばらくして、ようやく控えのテントに選手たちが帰るとたくさんの拍手で迎えられました。
大会後には恒例の「するいぢゅらさ(最も漕ぎ方が美しい舟)」、「くーじーぢゅらさ(漕ぎ方が美しい漕ぎ手)」の発表がありました。練習からお世話になっている漁協組合長さんが選考し、今年は「するいぢゅらさ」に星丸、「くーじぢゅらさ」に初等部の女子・高等部の女子と男子の3名が選ばれました。
ひさしぶりのハーリーを終えて。「もう漕ぎたくない」という漏らす生徒がいます。予選で落ちた波丸に乗り、人一倍悔しがっていた彼です。この生徒と仲間たちが来年どんなハーリー大会を迎えるのか。楽しみがまた一つ増えた馬天ハーリーでした。
最後に生徒たちのオフショットを。小学生から高校生まで、大きな家族みたいな珊瑚舎スコーレの生徒たちです。