毎年恒例の初・中・高等部合同ワークキャンプに行ってきました。
目的地に向かう途中、名護市辺野古を訪れて新基地建設に対して座り込みを続けている方からお話を伺いました。
説明の中で、基地問題は環境問題や人権の問題だけではなく、暮らしの問題というお話がありました。
前日に行った事前学習である生徒は″抗議するのもウチナーンチュ、工事側の船を動かすのもウチナーンチュ、県民が2つに分かれているのが心に残った″と感想をつづっていました。
この日もフェンスを挟んで、工事を進めるための業務を行っている警備員の方がこちらの様子を伺っていました。どちらの立場も同じ島に暮らす人同士です。
お話を聞いた後、「どうしようもないと思ったときはないですか?」「工事を止める予定はありますか?」という質問をしたのは初等部の生徒たちでした。その質問にも丁寧に答えていただきました。
辺野古を後にし、同じく名護市の嘉陽にある『エコネット・美(ちゅら)』を目指します。車を降りて林道を30分歩き、そこからさらに25分ほど歩いて山を降りていきます。
エコネット美は、両端を岩に囲まれて浜伝いには人が来ることが出来なかったため豊かな環境がそのまま残っています。
電気もガスもありませんが、自然とともに生きてきた先人たちの″じんぶん(生きるための知恵)″に学び、自然の中でのくらしをまるごと体験できる場所です。この考え方は珊瑚舎スコーレの「山がんまり」のモデルになっています。
スタッフの方から「この場所で自然の子になってね」と始まったキャンプでは、生徒たちが様々な作業を行います。
薪はボイラーでお風呂を沸かしたり、竈での調理に使います。
最も大変な仕事は海から漂流してきたゴミを拾うことです。圧倒的にプラスティックゴミが多いです。
エコネットのゴミ拾いは、集めたゴミを山の上まで運ぶまでが仕事です。
大きなゴミ袋を持って険しい山道を上がります。山の上に運んだ後は新しい薪を持って山を降ります。
この日、浜と山を2往復した猛者たち。その疲れと達成感が表情から伺えます。
急な大雨で作業がストップすることも。
エコネット美では、天気や海の状況を見て臨機応変に行動します。「人の方が変わらないといけない。これがこの場所での掟」ということを教わりました。
雨が降ったら雨で遊び、マーニ(クロツグ)細工をつくって過ごしました。
もちろん作業だけではなく、海で・川で・浜でよく遊びました。
時折この海の上をオスプレイやヘリが通り、埋め立て工事が強行されている大浦湾のすぐ横の海であることを思い出します。
ハスノハギリの葉をお皿がわりにしたイモ蒸しパンとスープの朝食。
石臼で大豆を挽いてゆし豆腐づくり。途中、美顔パックも忘れずに。オカラは油で揚げてコロッケのような食感のオカラボールをつくりました。
林道に入るとすぐにオオシマゼミの大合唱がはじまり、海ではベラやハギが泳いでいました。
マリンシューズを洗っていると蛇口の上に居たコオロギと目が合い、色鮮やかな蝶たちが目の前を通り過ぎます。
夜はコウモリがケンカする声が聞こえ、足元には天然記念物のオカヤドカリが闊歩していました。
色んな生き物の中で生かされているということを感じる2泊3日でした。
生徒たちは思い思いにこの環境を満喫し、お互いの新しい一面も知り得たような様子でした。
今回もエコネット美のスタッフの方には大変お世話になりました。ありがとうございました。