卒業生の言葉

卒業生の言葉

★卒業にあたって 
夜間中学校 G.M.
 
 私はずっと学校へ行きたいと思ってきました。でも、私が行けるような学校がなかなか見つからず、
あきらめかけていたところ、新聞で、珊瑚舎スコーレ夜間中学校の卒業生の記事をみました。
「エッ」と目をひらいて「私でも行けそうな学校があったんだ!」とマジでびっくりしました。
珊瑚舎スコーレを訪ねたとき、遠藤先生から「いつからでも、いらしてください」と言われても、まだ半信半疑でした。
でも、通っているうちに、自分が行きたかった場所がここだとわかりました。
夜間中学校は私が思っていたようなかしこまったところではなく、授業、クラスメートとのおしゃべり、
行事など楽しいところでした。
 
 クラスメートのみなさんと学んできて分かったことがあります。
「苦労してきたのは、私だけではない。みんな大変な苦労をしており、私と同じ気持ちだった」
ということです。とても肩の荷が軽くなりました。今おかれている状況から、少しでも前へ進めるよう、
与えられた場所で自分のやれることを発揮することが大事だと強く思っています。
 
 いつも楽しく学校へ通いました。感謝しかありません。
星野先生はじめ、珊瑚舎スコーレで手助けしてもらったみなさん、どうもありがとうございました。
※病気の軽い後遺症で手書きができないためボランティアスタッフが聞き書きした文章を掲載しています。
 

   

★卒業にあたっての言葉
高等部 A.K.
 
 今までとは違う学びができると思い(珊瑚舎スコーレの)中等部を飛び出し、私立の高校に進学した。
実際に通ってみると、そんな学びはなかった。
毎日毎日椅子に座り、黒板の文字をノートに写し、答えを探す日々だった。
高校二年生になって、主体的に学ぶ事を忘れてしまっていた。
 学ぶ事の大切さを再び気付かされたのは、この場所だった。
 
 久しぶりにとぅんじーあしびー(年末のパーティー)で珊瑚舎に顔を出した時、生徒一人一人の目が
これまでかと思うぐらい輝いていた。パーティーだったからかもしれない。
だけど、確かに見えない心の奥底に、珊瑚舎で学んでいる楽しさがあるのを感じてしまった。
ふと、頭の中に毎日をボッーと過ごしていた自分が蘇った。悔しかった。
同じ1日、1年を過ごしているはずなのに、全く別の時間を過ごしている人みたいだった。
自分も楽しい学びをしたい。そんな思いでこの珊瑚舎スコーレに戻ってきた。
 
 「初めから高校に進学しなければよかった」と思う後悔はなかった。二年間、珊瑚舎と違う
場所で学べた事で、自分がしたい学びを見つけさせてくれた。
珊瑚舎に戻って来てからも学ぶことは沢山あった。意見が合わない人とどう対話するか、
主体的に学ぶにはどうしたらいいか、毎日のように自分に問いかけて来た。
もちろん、全てに答えがあるとは限らない。黒板ばかり眺めていても解決しない。
そんなものばかりだった。その度に、自分で考え、沢山の人と意見をぶつけ合った。
モヤモヤして、もう嫌だって立ち止まる時もあった。高校2年生の時の自分なら逃げていた気がする事も、
自信を持って一歩踏み出すことが出来た。その先に自分のまだ知らない学びがあるとわかったからだ。
 
 学びとは何か?私立の高校にいた2年間と珊瑚舎スコーレにいた1年間で自分なりに見つけることができた。
常に自分の周りに存在し、意識しないと姿を現さないその姿にも人それぞれの見方がある。
人の考えと違って対立したり、モヤモヤしたりする。それでも、自分という人間を大きくしてくれる。
自分なりの学びは、そういう事だった。椅子に座り続けなくてもいいと思うし、文字だけをにらめっこする必要もないと思う。
みんなで何気ない会話をしてる時だって、がんまりで作業してる時間だって自分にとっては大切な学びの場だった。
 
 そんな、大切な学び場から自分色で染められた大きな翼を広げ今日飛び立って行く。
ここで学んだ事全てを離さないように大切に握りしめ、新しい場所に進んで行く。
もしも、羽が傷ついて飛べなくなった時は、この場所を羽を休ませる大きなガジュマルとさせてください。
 
※( )の言葉は投稿者が補足しています。
 

   

★卒業にあたってのことば
高等部 U.H.
 
 卒業を前にして、焦る。まだ何もできてない自分。もっとやれたはずなのに。
ほんの小さな迷いがだんだん大きくなっていく。大丈夫、俺は成長した。答えを見つけた。
無理やり言い聞かせてる、自分がいた。自分を騙して、納得しようとしていた。
それに気づかず、何かが違う。本当はこうじゃない。と、言いようのない違和感を感じながら、もがく。
 
 ふと、U-17私たちの県民投票を思いだした。18歳以下の人に、辺野古の新基地に対して
どう思うかを、問うために動いた。その中で誰かが言った。
「種まきをしよう。今芽吹かなくても、考えるためのきっかけに。」
あぁそうか、別になにかをなさなくてもいいんだ。俺はこの3年間で自分の中にたくさんの種をまいたんだ。
たとえ今、花が咲いてなくてもいいんだ。霧が晴れた様に、視界がクリアになった。
 
 目の前にはたくさんの道が続いている。それは珊瑚舎でもらった様々な視点によって、広がった。
一つの面で見るのではなく、多方面から見ることで、自分の嫌いなこと、好きなことをより深く知れる。
何より、自分が何も知らないということを知った。思索と実行を繰り返し、新しい見方を探して生きていく。
たとえ時間がかかっても、楽しいと思える生き方。少し疲れたら、また帰ってくればいい。そう思えたから卒業する。
 
 珊瑚舎でやり残したものはたくさんある。ハーリー(爬龍舟競漕)は優勝していない。
がんまり(山がんまり:珊瑚舎の校外施設)にツリーハウスを作ってない。
授業について話したいことが山ほどある。それでもなお、進みたいと強く思う。
沖縄で過ごした時間、たくさんの人と出会い、話し、ぶつかった。
その全てに気づきや、問い、学びがあった。だからこそ、自信を持って挑戦できる。
出会えた全ての人への感謝と両手いっぱいのモヤモヤを抱えて、笑って歩いていきます。
 
※( )の言葉は投稿者が補足しています。
2020-04-10T23:01:15+00:00 2020/04/10 10:56:05 PM |生徒の声|