学校をつくろう!通信 号外 東表中学校版 ←青字をクリックしてください。PDFでご覧いただけます。
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沖縄県・人口1万人当たり47.0人、全国平均10.0人
これは未就学者(小学校に入学していない、或いは卒業していない方)の数です。2020年実施の国勢調査の結果発表がまだないので最新の統計ではないのですが、義務教育未修了者数や形式卒業者数(学びの実態がないのに卒業証書を付与された方)を含めれば、少なく見積もっても未就学者数の1.5倍にはなると推察しています。
国連が求めるSDG’sの一つに豊かな学びの提供が挙げられています。義務教育制度は国が保障する学ぶ権利の最低限の保障としてあるものです。そこから置き去りにされている学齢期を過ぎた義務教育未修了者や形式卒業者の学びの保障は日本の教育行政の責務です。同時に、義務教育未修了者数や形式卒業者数をゼロにするために国民それぞれがそれぞれの立場で自分にできることをすることも必要であると思っています。珊瑚舎スコーレは学びを求める方々に常に門戸を開いている学校でありたいと考えています。今年度まではNPO法人が運営する無認可の自主夜間中学校でしたが、2023年度4月から私立の夜間中学校・「珊瑚舎スコーレ東表(あがりおもて)中学校」と名称を変更し、1条校(学校教育法上の学校)として新たに出発する予定です(2022年3月学校設置認可申請書提出予定)。学費無料の私立夜間中学校は全国で唯一の学校になると思います。たとえそれが小さな試みであるとしても、珊瑚舎スコーレがしなければならないことであると考えています。それは多くの皆さんのご協力があってはじめて可能なことになる試みです。
沖縄県の公立夜間中学校開設を待っていられない!
NPO法人珊瑚舎スコーレは2004年4月から沖縄県那覇市で学齢期を過ぎた義務教未修了の方を主な対象にした夜間中学校を運営してきました。民間が運営する所謂自主夜間中学校です。教育活動の傍ら、街頭署名や県議会に対する陳情などの活動を通して夜間中学校の必要性の理解と支援を県民に訴えてきました。その結果、1932年~1941年の10年の間(10年枠)に生まれた在校生に限って戦後補償の一環として卒業証書の付与(2008年)と支援金の支給(2011年)が実現しました。全国の皆様のご支援のお陰です。画期的なことであると思っております。しかし去年度、10年枠の対象になる在校生1名が登校困難になり退学しました。卒業証書付与と支援金の支給は打ち切られました。
珊瑚舎スコーレは義務教育未修了を戦後補償という政治的課題として取り上げるのではなく人権の問題として取り組む必要があり、10年枠の撤廃を当初から求めてきました。2018年2月に施行された「教育機会確保法」の実効性(全都道府県に公立夜間中学校を少なくとも1校開設することなどを謳っています)を求め2018年10月に提出した陳情が県議会で採択されました。しかし、執行機関である沖縄県教育委員会の対応は「今後の検討課題とする」というものでした。また、教育委員会が設置した公立中学校夜間学級等設置検討委員会の報告も夜間中学校の必要性に背中を向けているものだと思います。
入学希望者が少ないから夜間中学校は必要ないとは言えないのです。校門を開け、教室の戸を開け、使う机と椅子を用意し、夜間中学校の話をする教員がいて初めて義務教育未修了という学歴に対するコンプレックスを凌駕する学びへの欲求が頭をもたげるのです。義務教育未修了者の方との交流もなく、紙媒体のアンケート調査で開設を云々し、夜間中学校の開設を検討課題とする姿勢には共感できません。その間に学びを諦めたままの方々を多数作り出す状況を結果として作ってしまっていることを自覚しなければならないと思っています。
夜間中学校の生徒の方々が入学に到るまでのそれぞれの気持ちや入学した生徒の皆さんと同じような境遇で暮らしている方々の気持ちを知ること、それに何よりも沖縄県の未就学者数の圧倒的な多さを考えれば夜間中学校の設置は待ったなしの状況です。
離島県・沖縄の41市町村などに本校とオンラインで結ぶ市町村教室の開設を
NPO法人珊瑚舎スコーレは2004年4月から夜間中学校を運営しています。2021年度までの入学生は190人、卒業生は95人、高校進学者は32人、大学進学者は1名です。卒業せずに通学を断念した方々の主な理由は健康・体力問題、仕事と学習の両立の難しさです。月曜~金曜、17:00~20:30、学習指導要領に定められた全教科・科目の学習を3年間続けなければ中学校の卒業資格は得られません。通学に大変な努力が必要な方がいらっしゃるのです。
「頑張ろうと思ったけど、年金(月額約5万円)だけでは暮らせないよ。昼も夜も働くよ。おばぁに定年はないさ」入学を祝う会に憧れのセーラー服で参加した70代の生徒の言葉です。因みに夜間中学は3/4が女子生徒で長女の方が多いです。
「私の前に同級生の背中があって、その向こうに黒板があって先生がいる、それを見ているだけで涙が出てくるんです。こんな体験ができただけでも幸せです」学校で学ぶこと自体を放棄したわけではないのです。学びたいのに学べない方々がいらっしゃるのです。SDG’sの精神、誰一人取り残さない社会を作る努力をすることが、珊瑚舎スコーレの役割であると考えています。
一人でも多くの方が学べる夜間中学校の設立を目指しています。冒頭にも書きましたが、2021年4月、NPO法人珊瑚舎スコーレが運営していた高等部は学校法人雙星舎が運営する高等専修学校珊瑚舎スコーレ高等部(文化教養分野)として新たな出発しました。その学校法人雙星舎が私立の夜間中学校を開校・運営することを理事会・評議員会は決定、承認しました。今までボランティアで授業の講師を引受けて下さった方々もボランティア会議で理事会の決定を支持して下さいました。「教育機会確保法」には「公立」夜間中学校と書かれています。文科省の担当者に「公立」と書かれている根拠を尋ねたところ現在私立の夜間中学校がないので公立としているだけで、私立の夜間中学校の開設を排除しているものではないとの回答でした。
できるだけ多くの方々に門戸を開いた運営が必要です。そのために以下の2点を運営の柱として考えています。
1.学費を無料とすること。
経済的な問題が障壁となり入学を諦める方をなくすための運営方針
2.通学困難者にオンラインでの参加を可能にする市町村教室を開講すること。
開講時間帯や遠距離が障壁となり入学を諦める方を極力少なくするための運営方針
御真人立の夜間中学校 「珊瑚舎スコーレ 東表中学校」を作りましょう!
沖縄に御真人(うまんちゅ)という言葉があります。御万人と書くことがありますが本来は御真人と書き、古文書にも「御真人」が
使われています。「真心ある皆々様」という意味です。東表中学校は制度上は「私立」ですが、学びに心寄せる多くの市民が支える「御真人立」の夜間中学校として皆さんと作ってゆきたいと思います。ウチナンチュの方々、ヤマトゥンチュ(日本の人)の方々、外国籍の方々、是非、御真人の列にご参加し、東表中学校の運営を支えて下さい。
珊瑚舎スコーレは2001年の開校以来、多くの方々のご寄付と個人的資金によって運営されてきました。しかし、個人的資金の拠出には限界がありいつまでも続けることはできません。学費を頂いて運営している高等部は別として、学費を頂かずに運営を目指す東表中学校は継続的な資金援助が必要になります。3月末に提出する「学校設置認可申請書」には開設後2年間の収支計算書の提出が必要です。校舎と備品などは高等部と共用出来ますから支出は僅かです。また、人件費も本校(沖縄県南城市)の講師の方々はボランティアで授業を担当することを望んでいらっしゃいます。従って、「学費を無料にする」ことは南城市佐敷に開設する本校についてはハードルの高いものではありません。
課題は通学困難な入学希望者のために作る市町村教室の開設・運営です。現在沖縄県内の複数の市町村での開設に向けて準備をしています。そのための事前準備として必要なことは以下の5点です。
・机、椅子、参考図書など学習に必要な備品も含めた教室の確保
・オンライン授業のために必要な機材などの設置
・教室の管理運営と教務係・事務係・クラス担任を兼ねる有給の学習支援スタッフの配置
・生徒の学習をサポートする地元中高生ボランティアの参加
・本校及び市町村教室の運営を担当する法人本部の有給スタッフの配置
それぞれの自治体には財政事情をはじめとして、様々な事情がありますから「学費無料」を実現するため自治体、沖縄県との連携が必要になります。当面は現在開設準備をしている自治体で2023年度4月の開設を実現すること、その実践をもとに継続的に各自治体に参加する呼び掛ける計画です。
沖縄県は貧困率の高さでも全国トップです。しかし、県民所得が一挙に増える訳ではありません。20年近く夜間中学校の生徒の皆さんとの交流を通して感じ、考えることは人間の社会の豊かさは学ぶ喜びの体験が基盤となってもたらされるものだということです。学びとは人間ひとりひとりの内なる灯火となり灯り続けるものです。これこそが人間誰もが手にすることのできる生きる喜びの源です。他の価値に置き換えことのできないものなのです。学びの機会を保障できない社会、学びに学びとして向き合えない社会こそが貧しい社会だと思っています。
多くの方々が「珊瑚舎スコーレ東表中学校」の学びを支える「御真人の一人」となって下さることを願っております。
ご支援について
毎月決まった額を継続的に東表中学校にご寄付していただくことが出来ます。額も継続期間も寄付者の方が決めることが出来ます。
新入生が入学し卒業するまでの3年間を目途にご支援して頂ければありがたいです。
学校法人に対する寄付ですので「寄付控除」の対象になります。確定申告にご利用いただけるように、毎年12月末に事務局から領収書をお送りします。
東表中学校へのご支援を希望する方は下記のメールか電話でご連絡下さい。
メ―ルでお申込みの方は「継続寄付希望」とお書きになり、郵便番号、ご住所、お名前、連絡先電話番号をお書きください。事務局から必要な書類をお送りします。ご寄付等についてご質問などありましたら、同じく以下のメールか電話でお尋ね下さい。
メール hoshino@sangosya.com
電 話 098-975-7781
どうぞ、宜しくお願い申し上げます。